【中編】糸[続編追加]
「ごめんなさい。」


私は、下を向いたまま謝った。


たぶん、涙目だから。


今にも泣きそう。


「茉李?」


この声は、達矢だ。


私は、安心して上を見た。


そして、我慢してた涙が溢れてきた。


「たつやぁ 〜」


達矢の名前を呼んで、抱きついた。


「茉李、大丈夫か?」


達矢は、私を宥めるように頭をポンポンとしてくれた。


「茉李?」


愛しい人が私の名前を呼ぶ声がした。


私は、怖くて見れなかった。


「あんた誰?」


達矢が聞いた。


たぶん、私の少しの変化で気づいたんだろう。


りっくんに名前を呼ばれた瞬間、私は達矢のシャツを掴んでしまったから。
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