【中編】糸[続編追加]
「どうしよう。」


私は、慌てていた。


「漢字なんて嫌いだぁ〜」


慌ててるとか言うより、叫んでた。


「茉李、うるさい。」


半泣きの私に冷たいのは、友達の紗緒(さお)ちゃん。


「だって、紗緒ちゃん...」


「あんたに漢字の覚え方のコツを教えてあげるから。」


なんかいやな予感だけど.....


「教えて。」


やっぱ、コツを掴むのが大事だもんね。


「まず、この漢字わかる?」


【儚い】


「?わかんないよ。」


「【はかない】って、読むの。人が夢を見るって儚いことなのよ。わかった?」


「そんな夢も希望もないこと言わないでよ。」


私は、ダークすぎる紗緒ちゃんが悲しかった。


「現実的にもそうじゃない。まあ、いいか。じゃあ、次はこれ。」


【偽り】


「いつわり?」


「そう。人の為って言うのは、すべて偽りなのよ。」


「えっ?紗緒ちゃんはそうなの?私の為にしてくれてるんじゃなくて....」


私は、おずおずと聞いた。


「当たり前じゃない。茉李の反応がおもしろいからよ。」


「紗緒ちゃん、ひどいよ。」


私は、やっぱり本格的に泣き出した。


「ホント、茉李は泣き虫ね。」


紗緒ちゃんは、優しく私の頭を撫でてくれた。
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