【中編】糸[続編追加]
「私、一瞬だけだったのに目に焼け付いて離れないの。それに、翠ちゃんがそうだったら嫌でしょ?」


私は、涙を流すしかできなかった。


私より明らかに綺麗な人。


私なんか飽きた?


もう、やだよ。


紗緒ちゃんのときだって、怖かったのに。


頬とかの問題じゃないの。


りっくんが避けなかったのがショックだった。


「俺が聞こうか?」


「いいよ。私が見なかったことにすればいいんだから。達矢みたいに頬なんだから、気にしなきゃいいんだよね。」


私は、また同じ決断をしようとしていた。


だって、私さえ知らないフリをして我慢すればいいんだから。


だからといって、今日は一緒に入れないな。


辛くてりっくんを責めちゃうから。
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