ちゃんと分かってよ…。
恭介は今あたしがこんな事思ってるのも知らずにベッドに座ってテレビ見てる。
ムカつく。
……寂しい…。
恭介は、あたしがキライ?
あたしは恭介が好き。
綺麗な黒い髪も
優しい目も
大きな掌も
広い背中も
少し太い腕も
休憩後の疲れて寝ちゃう寝顔も
くしゃっと無邪気に笑う顔も…
あたしが伏せるとわざと顔を覗くところも
あたしがいい点取ると笑顔で「偉いぞー」って言って頭を撫でてくれるところも
あたしが元気無かったら授業中でも手紙やメールで「大丈夫?」って心配してくれるところも
怪我したらすぐ来てくれるところも
泣いたときは塾があるのにずっと側にいてくれた
あたしがあげたプレゼント、本当に嬉しそうだったね。
自惚れてもいい?
ねぇ、恭介はいつもやさしかったね。
ごめんね。
「邪魔」
そんな冷たい目は初めて見るの。
恭介はいつも誰よりも優しかった。
今、恭介が冷たいのはあたしのせいだよね。
恭介は服を持って下に降りた。