グラウンド【短】
―7月。
中学最後の夏、中学最後の大会。
「陸上部3年集合ー!」
グラウンドに散らばっているあたしたちに、顧問の声がかかった。
ストレッチをしていた数人の部員が集合する。
あたしも、その1人。
先生が大会の説明やらを話しているのをあたしはぼーっと聞いていた。
「大塚、と早瀬。」
大塚はあたしの名字。
早瀬は・・・アイツの名字。
「はい」
「はい」
あたしたちは少しズレて返事をした。
「お前らは・・・まぁ今のタイムなら予選は余裕だが、あまり気を抜くなよ。」
「「はい」」
今度はぴったりハモった返事。
・・・誰も気づくはずはないと思う。
あたしがこんなことだけで嬉しく思っていることを。