グラウンド【短】





―7月。

中学最後の夏、中学最後の大会。


「陸上部3年集合ー!」

グラウンドに散らばっているあたしたちに、顧問の声がかかった。

ストレッチをしていた数人の部員が集合する。
あたしも、その1人。


先生が大会の説明やらを話しているのをあたしはぼーっと聞いていた。

「大塚、と早瀬。」

大塚はあたしの名字。
早瀬は・・・アイツの名字。

「はい」
「はい」

あたしたちは少しズレて返事をした。


「お前らは・・・まぁ今のタイムなら予選は余裕だが、あまり気を抜くなよ。」

「「はい」」

今度はぴったりハモった返事。



・・・誰も気づくはずはないと思う。

あたしがこんなことだけで嬉しく思っていることを。






< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop