グラウンド【短】




ピーッ!

広いグラウンドに響くホイッスルの音。
それを聞いたみんなは小走りで顧問のがいる方へ行く。


・・・「えー明日はついに大会だ。3年は中学最後の大会になるけん、悔いの無いように―・・・」

顧問の話中にチラリと早瀬の方を向くと、早瀬もあたしの方を見ていた。

どうやら、あたしたちの考えていることは同じようだ。
あたしはちはにやりと笑って、引き続き顧問の話を聞いた。








―「やった~!」

「くっそ、誰やハーゲンダッツありって言ったの~!!」

「早瀬やろ。」

勝者は、あたし。
何の勝負かというと・・・アイスをどちらが奢るかという、なんとも地味に本気な勝負。

明日は大会だから部活はそこそこで終わり、早く帰れるからあたしたちはこんな勝負をしていた。(たまに何度かしたことがある)


「早瀬バカやね~『今日は勝つ気がする!』とか言って自分でハーゲンダッツありにしたのに。」

「あぁ・・・俺のバカ・・・」

そう言って2人で近くのコンビニに入った。


「は~涼し~い」

「いーからはよ選べっ!」

自分自身にキレ気味の早瀬に急かされ、あたしが選んだのは"ガリガリ君"。

「・・・大塚。」

「今日はガリガリ君食いたいん!」

あぁ、なんてあたし可愛くないんだろう・・・。(泣)

すると早瀬の手がぽんっとあたしの頭に触れた。

「大塚ってさぁ、実は優しいよな」

「常に優しいんやけど?」


・・・なんて憎まれ口を叩いたけれど、結局お金だけど。

カナリ嬉しかったりするんですよ、コレが。




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