グラウンド【短】
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あれから、バスの中で早瀬とは話さなかった(あたしが寝ちゃったってのもあるけど・・・汗)。
相変わらず外は暑い。
冷房の効いたバスの中から出るのは、なかなか憂鬱なものだった。
「お前ら早く着替えて集合しろよ~」
顧問がそう言ったのを合図に、みんな更衣室に向かった。
広い更衣室は、選手共同。
まだ誰も居ない更衣室は、南中の到着が早かったことを示している。
あたしの他、南中の部員が更衣室に入ってすぐ、北中の部員が入ってきた。
・・・居た、あの子だ。
ふわふわの髪をツインテールにしているのは、去年と変わっていない。
歩くたびにそのツインテールが可愛く揺れている。
何度、あの子なりたいと思っただろう。
ずっと一緒に居るあたしなんかより、年に1度姿を見れるあの子の方が、早瀬の心を強く掴んだのだ。
悔しさと悲しさ、いろんな感情があたしの中を駆け巡る。
・・・あの子もまた、100m走の選手だった。
せめて、大会だけではあの子に勝つために本当はずっと頑張ってきたのだ。
負けるわけには、いかない。