FIVE STAR
「なんで…?」
別れ話を切りだされるとは思ってもみなかった。
「他に好きな人ができた。ごめん。中途半端な気持ちで美優と付き合っちゃいけないって思ったから…」
「…そうなんだ」
私は紀里の真剣な眼差しと紀里らしい答えに納得した。
「じゃあ、その人と…頑張ってね。バイバイっ」
私はそこから逃げた。
紀里のこと、本当に好きだった。
でもなんとか忘れられることができ、今に至るわけだ。
あの時の紀里はさわやかで純粋な人だった。
さっきの紀里は何…?
耳についたピアス。
あのギャルと同じ、派手な服装…。
さわやかさなんてどこかに消えていた…。