FIVE STAR
――
カランカラン
「いらっしゃ…紀里…」
そこに真剣な顔をした紀里が立っていた。今日は一人みたい。
「ちょっと来い」
「え…ちょ」
紀里に腕を掴まれ、外へと出された。
「何?」
ふわっときつい香水のにおいがした。
その瞬間いきなり紀里に抱きしめられた。
「やっ…ちょっと…」
「美優、俺と付き合ってくれ」
紀里は抵抗しても一向に離そうとしない。
「なんでよっ…!!なんで今更…」
私は少し恐怖を感じた。
ガラスから見える店内の客はかわいそうにという目で私を見る。
見ないで…!!
どうしよう。中にはまだ春樹が…。
こんな所見られるのは嫌っ!!