FIVE STAR
これが家族なんだ。
これがお母さんなんだ。
これがお父さんなんだ…。
「おかぁさん…おと…うさんっ!!」
「頑張れよ…美優」
大きくて温かい富雄さんの手が私の頭をなでる。
…泣いてちゃダメだ。ここから動きたくなくなる…。
「…」
私は静かに二人の体を離した。
「今まで…ありがとう」
私の気持ちを分かってくれたのか二人は何も言わなかった。
「言っとくが…」
「ここは間違いなくお前の実家だ。“困った”ときにだけ帰ってこい!!」
富雄さんは目を腕でこすりながらアパートの中に入っていった。
「…美優ちゃん、いいのよ?いつでも帰ってきて」
峰子さんの目から一筋の涙がこぼれる。
「ありがとう!!」
私は笑ってそこから走りだした。
お母さん、お父さん、ありがと…。