【短編】少年A・少女A
『ガヤガヤガヤ…』
『カリカリカリカリ』
『ガヤガヤガヤ…』
『カリカリカリカリ』
「…見ろよ…あいつまた朝から勉強してるぜ…」
「全国模試また一位なんだろ?なのにあんなに勉強してさ…」
「どんだけ頭よくないといけないわけ?」
「私たちバカとちがってもっと上めざしてんじゃないの〜?」
…うるさい。
「がり勉がいると空気まずくなるんですけどーどっかいけよがり勉くん」
…うるさい。
「おい!シカトすんなよ!」
…うるさい。
「おい!聞いてんのかよっ!」
『ドンッ』
肩を強く押されて少年は少しふらついたが、その瞬間に前髪の隙間から凄い形相で相手を睨んだ。
…うるさい。
握っていたシャープペンから壊れた音がした。
机が、椅子が妙に震えていた。
『キーンコーン…』
学校のチャイムがなる。
少年の瞳はまだ獲物を狙う鷹のような…恐ろしく鋭い瞳だった。