短編。
友*グッバイハロー
見上げた空は、4日振りの快晴だった。
ふーっと吐いた息が白いのは、指にはさんでいる、タールとニコチンを異様に含んだ、依存性の高い嗜好品のせい。
下からは、師と友と学びやを讚える歌が、聞こえてくる。
時々音がはずれるのは、感極まった人間のせい。
歌声がひときわ大きくて、しかもよくはずすのは、同級生一身体が大きく、同級生一肝ったまがちっちゃい男だ。
となりに座って、まぬけづらを晒していた男が、ぽつりと呟いた。
「卒業式ですね、センパイ」
「そーですね、コーハイ」
「今日本番ですよね、センパイ」
「まさにそうですよ、コーハイ」
「出なくていいんですか、センパイ」
「出ても意味がないじゃないですか、コーハイ」
むっつりと呟いた言葉に、彼は軽く苦笑した。
「そーですね、アンタ留年ドラフト指名ナンバーワンで、留年決定したんですもんね」
グッバイコーハイ。
ハローフレンド。
「…………1年は短いぞ」
それまでに、やれることをやろう。
取りあえず、禁煙から。
決意をくちにだせば、また苦笑い。
「アンタには、絶対無理だよ」