短編。
恋*いとしきみへ

ハローハロー。

いとしききみへ。
いとしいきみへ。

ぼくの声は、聴こえてますか。ぼくの想いは、届いてますか。


きみと離れてから、もう4年ですね。
すぐそばにいるはずなのに、なんでかすれ違いもしませんね。

隣にいたときは、きみに恋人ができても全然気になんてならなかったのに。
離れてしまえば、恋人なんていなくてもきみを探してしまっているのです。



あのね、夢をみるんだよ。
昨夜……今朝って言うのかな。
やっぱりきみの、夢を見たよ。

ぼくの首に、マフラーを巻こうとしてたね。
残念ながら目覚ましに邪魔をされてしまったけど、優しいぬくもりを覚えているんだ。



すき、なのかな。
ぼくはいまでも、きみのことが。

それとも。
ただ、きみに好きになってほしいのかな。


まだ中学生だったあの頃、きみへの想いに気付いたとき。

きみがあの子を好きだっていうのは、ぼくたちにとって公然の秘密で。
あの子がきみを好きだっていうのも、真実の噂だった。


欲しいとは、思わなかった。
欲しくなったのは、きみたちが別れてから。



愛し君へ。
ぼくは今日も、きみの夢をみています。

だからこの想いを、風に託すよ。
< 5 / 11 >

この作品をシェア

pagetop