短編。
夢*終焉のうた
きらきらひかるランプの葉っぱに火をつけると、きらきらがパチパチに変わった。
パチパチパチパチ
火花を咲かせ、火の粉を散らすランプの葉。
それを見つめながら彼女が奏でるのは、「声」という名の音楽。「歌」という名の想い。
いずれこの世界を巻き込み、流転するであろう物語。
その始まりを彩る、あいのうた。
ああ、この時間はなんて愛しいのだろう。
ああ、この音楽はなんて哀しいのだろう。
終焉。
この音は、ほんの序章にすらすぎない。
いずれ、終焉わるはずの物語の、はじまりのおわりが、始まった。
それに気付いていたのは、彼女だけだったのか。
それとも彼女すら気付いていなかったのか。
当時の私は知るよしもないし、
現在の私は知ることも出来ない。
ただ、終焉の先に安らかな夜がおとずれることを。
いのるだけ。