短編。
恋*いつかのきみへ
いつかのきみへ。
きみへの想いが消えないうちに、
ここにすべてを綴っておきます。
たぶん、ほんとうに、すきでした。
人生で、4度目の恋でした。
こないだ、久々にメールしたとき、
「スマン、アドレス登録してない。誰だっけ?」
って返されて、けっこう落ち込みました。
中学のときかけていた、メガネのツルの、深い赤紫が好き。
そう言い訳をして、きみのメガネに触ったね。
クッキー作っては学校に持っていってた。
みんなでわけあったけど、知ってた?
きみがいないときは、かばんの中にいれっぱで。
家に帰ってから、ひとりで食べた。
アルバムのなかに、いちまいだけ写真があるよ。
修学旅行から帰ってきた、その日に自転車小屋で撮った、写真。
きみは写真が嫌いだったから、見せればすぐに、取り上げられてただろうね。
きみの家からもらってきた猫は、ミミが垂れていて、愛らしい。
スコじゃないから、全体的にスリムで筋肉質で、どことなくきみに似ている。
女の子なんだけどさ。
ねぇ、ほら。
すごくすきだったの、わかるでしょう?
気づかなかった「きみが悪い」なんて。
そんなこと、言えないけどさ。
でも、ごめん。
きみの夢を、見なくなりました。
きみを思い出す回数が減ってきて、
きみを想っても、胸は痛くならない。
そりゃあ、ちょっとは疼くけど。
ねぇ、ごめん。
あの人のことを、すきになっても、いい?