cat。。。
cat。。。
彼女は猫だ。


もちろんヒトだけれど、
彼女の僕に対する仕草が、
まるで猫のようだから。


彼女が口にする
「ねぇ」は、餌をねだる猫のよう。

「ねぇ、明日水族館に行きたい」

「ねぇ、今日は何食べよっか?」

「ねぇ・・・」


名前でなく「ねぇ」と呼ばれて、
僕は「ん?」と振り向く。
「ねぇ」の次の言葉が出てくるまでの一瞬、
彼女の目は暗闇で大きくなった猫の目。
そんな彼女の「ねぇ」が愛おしい。


彼女はふいっと自分の世界に入ってしまって、僕にかまってくれない時もある。
本を読んでいる時なんか、「お~い」と呼んでも「ん~?」と喉で返事をして、目は本から離さない。無理にくっつきにいったところで、ぷぃっと背中をむけたまま、こっちの世界に戻って来てくれない。

彼女が甘えたい時は、例の「ねぇ」の後、ゆっくりと近寄ってくる。それでも僕の反応が得られないと、「ねぇってば~」と、頬をぷぅっと膨らませる。もうここまで来ると、いくら本やテレビが面白くても、彼女のペースに引き込まれてしまう。まるで、足元をくるくると回る猫を、仕方なく、それでも必然的に抱き上げるように。




やっぱり彼女は猫だ。


そして、僕はそんな彼女が好きだ。

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