お嬢様☆執事
「あと、千絵から聞いた」
「…!!」
千絵とは沙羅の母のこと。
「…沙羅と色々あったってな」
怒るでもなく、無表情に言いきった。
「…はい」
返事をするのが精一杯。
父の重さに耐えられない。
「あえて言わん。もう分かるだろう?」
「はい」
処分…だろう。当たり前のことだ。
「ここから出る前にそれを読め」
父の目がさっきの封筒に移る。
「…これはなんでしょう?」
「…私の父からだ」
「…」
信じられない。もう亡くなったはず。
「あえて言うなら、君への遺言だ。言っとくが私は目を通していない」
「…いつから?」
「父が死んでからだ。2年後くらいに渡してくれ、と」
「そうですか…」
創也は封筒をただ見つめていた。