お嬢様☆執事
「…沙羅、様?」
「…創也?」
その音の正体は創也だった。
何やら大きな荷物を両手に持っている。
「ねぇ…嘘でしょ?」
見ればわかる。
旅行以上の荷物。
ガチャ…
ザー…
玄関が開くと同時に雨音が強くなる。
「…お嬢様」
外から扉を開けたのはメイド。
玄関先には5人くらいのメイドと執事。そして、車が。
雨が激しく車を打ち、地面を濡らす。
「秋山さん、もう時間です」
少し親しみを込めた口調だった。
同僚だろうか。
「…はい」
「…え?」
思わず、声を出してしまった。
創也が、沙羅を無視して通り過ぎたのだ。