お嬢様☆執事

沙羅は濡れることを気にせず、外に出た。



「お嬢様!」



それに気づいたメイドが声を出す。



ブォォ…



車は進んでしまった。



「…創也」



雨が冷たい。



空は真っ暗。



星一つない。



月さえも雲に隠れている。



「…」



雨にぬれたほほに温かい涙が伝う。



創也、一言言ってもらいたかったな。



最後は“沙羅”って笑ってほしかった。



全部、私のせいだよね。



ヒドイこと言って怒らせた。



だから今日、行っちゃったの?



もう私と居たくないって思ったの?



ごめんね…。



「う…」



創也、戻ってきて…。



雨はまた強さを増す。



どうしてやんでくれないの?



どうして…。





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