お嬢様☆執事

「はぁ…はぁ」



何十分走っただろう。



どれだけの涙を流しただろう。



聖夜…



そのとき、静かに雨が降りそそぐ。



「…」



初めて聖夜と会った日。



初めての聖夜とのキス。



聖夜の優しさ。



全部全部蘇る。



「もう終わりなのかなぁ…」



沙羅はもう泣きやんだ。



いや、泣けないのだ。



有紗さんとずっと一緒にいるの?



有紗さんと結婚しちゃうの?



沙羅はうつむいた。



…あれ?雨やんだ?



水滴が落ちる感覚がない。



いや、まだ降ってる。前にある水たまりは水滴を打っている。



「…風邪を引いてしまいます」



そこにいたのは秋山さんだ。










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