お嬢様☆執事
一時間くらい泣いただろうか。
空はもう晴々としている。
「ごめんね…」
秋山さんのスーツを握りしめる。
「いいですよ」
…聖夜、追いかけてくれなかった。
何もしてくれなかった。
今、私のそばには秋山さんがいる。
「沙羅様、家に帰りましょう。もうお昼を過ぎています。」
学校に戻ろうとは言わなかった。
その優しさがあたたかい。
…笑わなきゃ。
私、迷惑かけてる…。
「…うん!」
沙羅は顔を上げ、笑った。
今までにないほどの笑顔で。
…でも、ちゃんと笑えてる?