お嬢様☆執事
「沙羅様、いってらっしゃいませ」
いつもの登校。
いつもの制服。
「いってきます…」
秋山さんは頑張れ、とでも言うように笑ってくれた。
そして教室に向かう。
「沙羅…」
「…」
久しぶりに聞く愛しい声。
それは後方から。
振り向こうか振り向かまいか…。
…普通に。そう、いつもと同じように。
「聖夜、おは…」
「聖夜ぁ♪おはよう!」
「あ、有紗…おはよう…」
沙羅の声はかき消された。
「…。じゃあねえ♪」
ドンッ!
「ごめんなさ~い♪」
…沙羅のこぶしは震えていた。