お嬢様☆執事
「…ん」
有紗の時折漏れる声が聞こえる。
嫌…。
沙羅の目はあるものをとらえてしまった。
廊下の曲がり角にある鏡。
その鏡に二人が映し出されていた。
「…!!」
沙羅は走った。
当然気付かれてしまう。
しかし、そんなことを考えている暇はなかった。
「…っ」
沙羅は校門の手前で泣き崩れた。
さっきの光景が頭の中で連鎖する。
「嫌…。聖夜ぁ…。」
「沙羅様…?」
…秋山さん?
「…」
「大丈夫ですか」
秋山さんは沙羅を抱き起した。
「う、うん…」
なぜか、沙羅の涙は止まっていた。