短編《Who don't yet look to you?》
Who don't yet look to you?
クリスマスイブの今日、女友達と2人で過ごす予定だった。
……2日前にその相手に“彼氏”が出来るまでは。
当然、彼女はあたしとの約束よりも“彼氏”とのデートを取り、そのおかげでせっかくのイブだというのに、一人で過ごさなきゃいけなくなった。
家にいてもつまんない、と外に出掛けてみたものの、幸せそうに寄り添う恋人達がいつも以上に多くて余計滅入ってしまう。
こんな日に一人って空しいな……。
寂しい気持ちを振り払いたくて、ショッピングモールへと足を踏み入れる。
キラキラと虹色の光を放つ電飾をつけたクリスマスツリー。通路にはポインセチアが飾られ、モール内は外の寒さを感じさせないほど快適に暖められている。
家族連れも多く、擦れ違う人達はみな笑顔にあふれ、今日という日を思い思いに楽しんでいるように見えた。
吹き抜けの広場ではクリスマスイベントが行われていて、一層賑わっている。
そんな光景を一人、ぼんやりと眺めていた。