僕らのヒ・ミ・ツ
「うおっ」


ため息が由貴の逆鱗に触れたのか、イラっとした由貴が俺にクッションを投げつけてきた。


「いちいちイライラさせないでよね!馬鹿ヒロキっ!」


そう言って由貴は長い髪を揺らしながら隣の部屋へ戻っていった。

なんとなく甘い香りが残っている。

高校生になってから由貴がどんどん知らないオンナみたいになっていく。
気が強くて乱暴なのは変わらないんだけど…。


「…。起きますか」


顔を洗って、髪をワックスで整えること5分。

俺より1時間以上も前に早く起きておいて、由貴はまだ身じたくを終えていないようだ。


「やれやれ」
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