ロ包 ロ孝 3
「迎え討て。銀次、弥五郎、六兵衛。討ち漏らすな? 案内(アナイ)しろっ! 宗助」

「はっ! みんな、こっちだ」



 窖を飛び出してすぐ、山の中腹に賊の気配を感じた彼らは闇雲に刄(ヤイバ)の【陣】を放つ。



「シュッ! シュッ、シュッ!」



  ザザッ シュパッ 「グァッ!」 ズゥゥゥン



「手応え有ったぞ。放ちまくれっ! シュシュッ! シュッ!」



 立木と共に賊を切り裂いた宗助は気合いを込める。



「ぬぅぉぉぉおおおお」

「宗助殿、頭っ! それは『禁じ手』の筈では」

「頭領様は『一族に危うき物を遠ざける場合にはそれ(禁じ手)に非ず』と仰った。今こそ、その時ぞ」



 身体中に稲光を纏い、明滅を繰り返している宗助が言う。

 現在は一子相伝の秘術として伝えられている【前】も、この当時は普通に伝授されていた。

 ただその威力の凄まじさと制御の難しさから『禁じ手』とされ、普段の忍び勤めに於いては使用が禁じられていたのだ。



「コォォォォォオオオ」



 宗助が息を吸い込むと周りに有る落ち葉が渦をなし、乱舞する。



「消し飛べ。ザァッッ」



  ガァッガァァァァアアッ



 放たれた全破壊の龍は、真っ直ぐに賊の元へと駆け下りて行った。


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