ロ包 ロ孝 3
「うわぁぁぁあ」「ギャアアアア」「ぉゎはぐっ」

「やったか? 直ちに【朱雀】を使え! 虫の声ひとつ聞き漏らすな。はぁっ、はぁっ」



  キィキィキィィィィィイ



 【前】を放ち、精力を全て使い果たした宗助以外の3人が聞き耳を立てる。



「頭っ! 足音がふたつ!」

「追え! 何としてもひっ捕まえろ、はぁっ……はぁっ」

「はっ! 心得ました」



──────────────



「飛苦無を打ち込んだ所手応えが有り、すかさず走り寄りましたが屍はひとつきりで……」

「そこで【朱雀】を使おてみましたが、枯れ葉の動く物音ひとつございませんでした」



 銀次他追っ手に加わった者達からの報告を聞いて、義政は腕組みをしながらようやっと言葉を紡ぎ出した。



「……うむう。二人走り(※)をしていたのやも知れんな」

「頭領様。私が追えば良かったのですが、申し訳ございません」

「何を言う、宗助。【前】を放ったすぐ後に走る等出来ようものか。なぁに、後はなるようになる」



 彼等は念の為にとカラクリを十程新しく仕掛け足し、交替で寝ずの番をすることで敵襲に備えた。


※ 二人走り(ニニンバシリ)

1人であたかも2人が走っているように足音を立てながら走る事。


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