ロ包 ロ孝 3
カランッ カラコロン
「むうぅ、敵襲だ」
カラクリの鳴子が鳴って、一同は飛び起きた。
「皆の者、いよいよだ。今度は抜かるでないぞ?」
頭領の喜政にそう投げ掛けられて彼らは窖を後にする。ふもとに向かう小路を駆け降りていると、喜八は何かにたもとを引っ張られた。
「ねぇねぇきや兄ぃ、伊賀者って強いの?」
「あ、綾乃っ? 梅と一緒では無かったのかっ!」
いつの間にか付いて来ていた綾乃が嬉しそうに聞いてくるので、喜八は慌てふためいて問い質した。
「だってぇ、伊賀忍法を見てみたかったから……」
喜八は普段見せた事のない険しい顔で綾乃を睨み付け、地も揺るがす程の大声で怒鳴った。
「お前は貞吉がどうなったか聞いていなかったのか? 物見遊山で見物させてくれるような相手ではないのだぞ!」
その余りの声に綾乃は震え上がる。
「堪忍して下さい。きや兄ぃがそんなに怒るなんて思わなかったから……」
「きゃつらは自分の命さえ顧みぬ。我らの命など何の躊躇いもなく奪うのだ。それが例え女子供でもだ!」
「喜八様、あまり大声を出されては敵に感付かれます!」
「皆討ち取ってしまえばいいだけのこと、行くぞっ」