ロ包 ロ孝 3
○或る小春日和、ここは甲賀の里。

束の間の暖かな空気を享受し漏らさんとばかりに小鳥達は飛び回り、群れ遊んでいる。

これ迄甲賀忍び達は、互いを支え合ってこの戦乱の時代を駆け抜けてきた。

しかしその中で、各々が仕える大名達の力関係から甲賀の里は分断される事になる。表立って相反する事は無かったが、いつ何時、かつての同胞に寝首を掻かれてもおかしくないというのが実情だった。

自らの生き残りを謀る為、技を研鑽した末に新たな忍法を見いだした高峰家は、甲賀の同胞から異端視され、遂には独立の道を選ばざるを得なくなっていた。



 §喜八§
  キハチ

高峰の一粒種。表裏の蠢声操躯法を操る使い手。


 §綾乃§
  アヤノ

高峰家に仕える女忍び。同じく女忍び『梅』の妹。喜八を兄のように慕っている。


 §高峰喜政§
  タカミネヨシマサ

喜八の父、高峰忍びの頭領。蠢声操躯法の創始者である政右衛門丞清治(マサエモンノジョウキヨハル)の嫡男。


< 2 / 21 >

この作品をシェア

pagetop