X'mas Night[短篇]
手、繋ぎたいな…。
「どうした?」
「…ううん、なんでもないっ」
そう思っても、なかなか
自分から繋ぐことが出来ない。
恥ずかしいんだもん。
「…混んできたな。」
「え?」
哲平の手にだけ意識が集中していた私は、周りの状況を見ていなかった。
ぱっと顔を上げると
少し咲きに大きなツリーが見えた。
と、同時に周りには数え切れないほどの人、人、人!みんな、ツリーの点灯を見に来た人らしく辺りは人で溢れかえっていた。
「たしか、9時だっけ?」
「うん!雑誌にはそう書いてあった」
手帳を広げると、
ピンクの字で9時点灯、とメモしてあった。
「あと、15分か…どうする?朱実、近くで見たいだろ。」
「うん!もう少し、先に行ってみようよっ」
せっかく来たんだもん。
もう少し近くで見たいっ
でも…哲平めんどくさくないかな?確か、人混み苦手だったような…。
チラリ、
哲平を見上げると視線が絡んだ。
「じゃ、行くぞ。」
「え、良いの!?」
「…何?見たくないの?」
いやいや、そうじゃなくて!
信じられない…
「見るっ」
なんだか嬉しくて、
私は哲平の横に並んだ。