X'mas Night[短篇]




「あっれー。彼女、1人?」

「へ?」



見上げると直ぐ近くに
1人の男の人が立っていた。


…制服。
ってことは私と同じ高校生?




きょとん、としていると
少し開いていた隣の隙間にどすっと腰を下ろすその人。




「俺、クリスマスなのに部活でさー」


ちょ、ちょっと
聞いてませんけど!!


勝手に話し始めるその人に唖然。




「1人なら俺と一緒にクリスマスなんてどう?」



ぶる…。
鳥肌が立ってしまった。


悪いけど…完璧無理だ。
この部類。
軽すぎる。



「遠慮しときます…。彼氏いるんで。」

「えー!超ショック!」

「…。」




哲平が来るはずだから動けない
…とか言ってる暇じゃない。

とにかく避難しないとっ



すくっと立ち上がり、
とにかくその子から離れようとした。




「ちょ、ちょ、待ってよ」

「きゃっ」



急に掴まれたのは手首。
ぐっと力強く。



こ、怖い…。
初めて芽生えた恐怖心。



「何もしねぇからさ!」

「嫌っ」



せっかくのクリスマス。
一分一秒でも哲平と一緒にいたいのに…



ぐっと引っ張られ、
もといたところに座らせられそうになった



「ちょ、やめて…」

「朱実!」




あ、あれ…
今、哲平の声がしたような?



「てっぺ…ぅわ!!」


ぐいっと
さっきとは比べられないほどの力で私の手が引かれた。




ドスッ
勢い良く誰かの胸に顔をぶつけた。





「いった…」





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