ジュリエット&二人のロミオ【短編】
「ふぅん、まぁいいや。告げ口したやつも誰かわかんなかったしな」
――ほっ。
中村君のお陰で、私も見ていたことはバレずに済みました。
ありがとう。中村君!
でも……渋谷君って変わったなぁ。
中学の頃は、あんなにサッカーに打ち込んでいたのに。
今は、ボールを蹴る姿さえ見ない。
もう、止めちゃったのかなぁ。
―――中学1年 夏
「あっ、また練習してる」
暑い日照りが続く中、グラウンドで一人ボールを蹴る少年が居た―――
それが、渋谷拓海だ。