ジュリエット&二人のロミオ【短編】
「サッカーは止めたんだよ」
そう言って、教室とは反対の方へ歩いて行った。
いつもの元気が無いと、調子狂うじゃん…
渋谷君の淋しそうな背中をずっと見ていた。
なんだか分からないけど、少し気になって仕方なかった。
ジュリエットもきっと、こんな風にロミオのことを想っていたのだろうか。
決して公に会うこともできない。彼のことを密かに想い続けることでしかジュリエットの心は、満たされることはなかったのだろう。
今の私には、まだ、ジュリエットのように彼の事を思いやることは出来なかった。