ジュリエット&二人のロミオ【短編】
★ときめき
結局、渋谷君は授業に出なかった。サボって帰ったらしい。
放課後の図書館で一人、本の整理をしていた。
ふと窓際の席に目をやる――
中村君?
机に突伏して、スヤスヤ眠っていた。窓から入り込む風が、中村君のサラサラな髪をなびかせていた。
「中村君?」
「………」
やっぱり寝てるみたいだな。
わぁ、まつげ長~い。
本当に、綺麗な顔。これじゃあ、モテるわけだわ。
「中村君……今日は、ありがとね」
中村君の寝顔を見ながら、小さな声で囁いた。
「――あれ?紗織ちゃん?」
背後から声がして、びっくりして振り返った。