ジュリエット&二人のロミオ【短編】
「じゃあ、僕は帰るね。早く帰るんだよ」
ほっ。
いつもの優しい先輩の顔だ。
やっぱり、気のせいだったみたい。
今日は、いつもよりも先輩とたくさん話ができたぞ!
ラッキー☆
「ふぅん。藤堂さん、アイツのこと好きなんだ」
「びっくりした!中村君、いつ起きたの?」
「今さっき」
大きなあくびに、長い腕を伸ばして大きく背伸び。
いつもは、凛とした中村君だけど、今日は何だか可愛い。
「中村君、よく図書館に来るんだね」
「今、これにハマってて」
「江戸川乱歩?へぇ…探偵ものが好きなんだ」
「昨日も徹夜で読んでて、寝不足なんだよね」
また、大きなあくび。
「そう言えば…先輩、俺のこと何か言ってた?」