ジュリエット&二人のロミオ【短編】
「えっ?ううん。何も」
「ふぅん」
――やっぱり
中村君と先輩って、知り合いだったのかな?
「これ、借ります」
「あっ、はい!」
聞くに聞けなくて、チラチラ本と中村君に目を行き来していた。
「俺の顔、何か付いてる?」
「ううん、何でもない!!」
――ピッ。
「はい。貸し出し完了です」
「サンキュー。じゃ」
また、目元だけ緩ませて戸口を出ようとした――
「それから……さっきは、今日のお礼ありがとな」
―――!!!!
起きてたんだぁぁぁ~!
寝てると思って、言ったのに!
恥ずかしい~!!
思わず赤面して、手で顔を覆った。