ジュリエット&二人のロミオ【短編】
エントリー表にずらっと並んだイケメン達の名前。
その中に中村君の名前があった。
「きゃ~☆中村君頑張ってね」
後方で女子生徒の黄色い声が飛び交う。
黄色い声援を浴びながら、中村君は無表情のまま、掲示板の方へと歩いて来た。
「よっ!色男っ」
麻衣子は、オバサンみたく中村君の肩をバシバシ叩いていた。
「中村君、頑張ってね」
「俺、こういうの好きじゃないから」
そう言うと、面倒くさそうな表情をして行ってしまった。
「イケメンは、言うことが違うね」
それもそのはず、コンテストの出場券は、女子生徒の推薦によって決まる。
推薦された人は、有無を言わさずコンテストに出なければいけないからだ。
「中村君……」
――何だか可哀相だな。
「ちょっと、紗織!」