ジュリエット&二人のロミオ【短編】
自信ありげに手を挙げたのは――
「おっ!渋谷やってくれるか!」
――渋谷君だった。
クラスのみんなも『渋谷君なら』って気持ちで拍手が沸き起こった。
問題は、ジュリエット。
ジュリエット役を狙う女達の闘志をひしひしと感じる。
私は、衣裳係くらいでいいや。
『私は関係ない』って、思ってたのに、渋谷君がとんでもない事を言い出した!!
「熊っち!俺、立候補するけど、条件がある。
ジュリエット役に藤堂さんを推薦します!」
――えぇぇぇ!!
私だけじゃなくて、クラス全員が渋谷君の言葉に騒然となった。
なっ、なっ、なんて事を言い出すのよぉぉ~!!!