ジュリエット&二人のロミオ【短編】
渋谷拓海
中村君の歩幅に合わせて、後を付いて行く。
私には、一人でこの廊下を歩きたくないわけがある。
何故なら……
誰も居なくなった教室から、薄気味悪い唸り声が聞こえるから。
「ねぇ、中村君。私ね、幽霊の声を聞いたの」
「幽霊?」
何を言ってるんだ?という目で私を見る。
「本当なの!あっあっ…って」
ぁ…ぁ…ぁぁ…
「そう、こんな感じに……って!?」
やっぱり!!
間違いない。
この学校には、何かいる!!
「な、中村君!?」
声のする方へ、ゆっくり近いていく中村君。
一人になるのが恐くて、中村君の後を付いて行くことにした。