くらげ
信号待ちで、タバコに火をつけながらユウジが言った。

「アキラ… お前、あのエボ気に入ったんだろ?」

「えっ?何でわかるんだよ?」

「そりゃ、長い付き合いだから、顔見てりゃわかるよ」

ニヤリとしながらユウジは言った。

「そうだな…一目惚れってやつだ」

(ユウジに隠し事はできないや)


「ついでに、あの店員の子も気に入ったろ?」


「ハハハ…そうだな、一目惚れってやつだ」

照れ隠しにタバコに火をつけなが答えた。


「ところで出せんのかよ?250万」

今度は真面目な顔で聞いてきた。

「そこがネックだよ。200万くらいなら何とかなるんだけど…俺達、学生だからローンは無理だしなぁ」

「だよなぁ…あてはあんのか?」

「ない事もないけど…」

(カッコ悪いんだよなぁ)

「そっか…でも、あのエボは、オススメだぜ」

「わかってる…」



そう言い終ると、ちょうど俺のアパートに着いた。

「じゃ、またな!」

「おぅ、サンキュー!」



キュキュキュキュ…!

俺を降ろしたユウジのインプは、とんでもないスピードで走り去って行った。
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