恋のありかた
4 ...繋がり

気がつけば屋上にいた。誰もいない、冬の冷たい風が体にあたる。

「……帰ったら机とかないとか、そんなんありそうで怖いな」


思わず苦笑してしまう。
そして、少し三月が憎いと思ってしまった。
私が悪いのに。
大事だと言った三月の言葉が今も頭に残っている
私は、超えちゃいけない線を少し足で踏んだんだ。

涙がまたこぼれた。


「涙腺もろすぎだよ、私。」

こんなに泣く子じゃなかったのに。

「とりあえず授業サボろ。」


陰になっているところまで
歩いて座ると、少し冷たい。携帯を開いて、無意味にいじくって
また空を見上げる。

そこに、ドアが開く鈍い音がした。
同時に女と男の声。
驚いて息を殺す。

「そうなの。雪南、どこ行っちゃったのかな……皆、噂して、雪南かわいそう…」
「そなの?」
「さっきもね、教室飛び出ていっちゃってぇ……。
 唯、一生懸命探したけど見つかんなくてぇ」
「んー、じゃあ俺も探すよ。ごめんね、唯ちゃん」
「いいの……雪南のこと、唯大好きだから……ごめんね、倉田クン。」
「いーよ。唯ちゃんて優しいのな。
 セツもありがたみってもんを持たんとダメだよな」
「あはは。でも、雪南はぁ、唯のこと嫌いかなって思うけどね……」


 声の主は唯と三月だった。

会話に驚きを隠せない、ふつふつと怒りがわいてくる。


「なんで」

「だってぇ……よくいじわるされるし……
 だけど友達だよっていうし…唯、中学の頃からの友達って少なくて……。
 雪南は、本当はいい子だと思うし、唯、信じたいの…だけど、時々辛くて…」

「……セツが、いじわる?」

「そうなの。死ねとか普通にいう……って、
 今は関係ないよね。ごめんね、倉田クン。じゃあ探しに行くね!」


……いつ、いったよ。私が。
言ったのは唯でしょ……。


唯の性格の悪さが今になって気づいた私は、バカだと思う。
悔しくて涙が出てくる。

出ていく音が聞こえて、静かになった屋上


胸が痛い。
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