恋のありかた
「あー。久々におばさんの料理食いたいかも」

 授業のほとんどを受けずに私たちは屋上を出て、まっすぐ家へ向かっていた。

「寄ってけば?」
「そーするー♪」
「今日は予定なかったんだ」

いつもの道を、三月と歩くのは、ひどく久しぶりな感じがした。

「んーあったかなぁ。もうどうでもいいけどね」
「何で」
「………」

なんで、と言った私の足は自然に止まっていた。
少し前を歩く三月も立ち止まって、振り返る。

「だって今日はおばさんの料理食べる日になりましたから」
「……そ、そだったね」
「何立ち止まってんの。セツ。」
「い、いや。なんとなく」

三月が近づいてくる
そして、手をとった。

「ちょっと、何で手を繋がなくちゃいけないの」

握られたその手は、恋人つなぎでもなんでもない
普通の繋ぎ方なのに、ドキドキした。
顔が熱くなる。言葉はそれに反して、トゲトゲしいものになってしまった。
三月が笑った。

「なんとなく。」
「……触れられないって、言ってたのに」

でも拒否する理由もない。むしろ、できなかった。

「帰ろ。」

三月はまた答えようとしないまま歩きだす。
私の足も自然に前を歩く。

「セツ」

「何?」

「さっきの続きなんだけどさ」

「うん」


“「……もし、セツが……」”

握られていた手に力が込められる。

三月……?
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