恋のありかた
「はー、今日も平和っすねえ。セツさん」
「ここだけ見ればそーかもね」

 教室に行けば、いやな視線は浴びるものの、
机もあったし、いじめらしいいじめはなかった。
それでも居たたまれなくて教室を抜け出してきた。
ボロドアを開けると先客の三月が、ひらひらと手をふって笑っていた。
隣に座って空を見上げる。

「さすがに寒いけどな」
「昨日、帰ってたんだ。」
「あーうん。帰ったよ。さすがに一緒に寝るわけにはいかんでしょ。我慢できねー。」
「死ねよ」


昨日は途中で私が眠ってしまったみたいだった。気付くとベッドに寝ていた。
三月は帰ったと母に聞かされていた。


「――どだった?机あった?」

三月は意地悪な笑みを浮かべて聞いた。

「あった。何も変化ない。逆に気持ち悪いかも」
「よかったね」
「何かしたの?」
「ちょっとね」
「え!?」

空から視線を三月に向ける。
すると三月はニコっと笑った。

「嘘。俺優しいから、注意したとかありえねーでしょ。」
「…あはは、ありがと。」

「てかさ、昨日クリスマスだって気づいてた?」

「あー忘れてた。また三月の事好きな子に知られたら半殺しだね。」

気づいてなかった。どうでもよかったといえばよかった。
知らずのうちに一緒にいたなんて少し笑える。

「まぁねー。でもセツと居たかったから、俺的には叶ったりーだよ。」
「そう……。」
「で、これ。」

ポケットを探って、三月は小さな箱を出した。
赤い箱に白の大ぶりのリボンがついているソレを受け取ると
三月は早く開けて欲しそうに私を見た。
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