恋のありかた

「何…?っていうか、開けていいの?」
「いーよ。」

スルスルとリボンをほどいて箱を開けると
小さなダイヤがついた華奢なネックレスが陽を浴びて光った。

「クリスマスプレゼントでーす。」

「……なんで?」

三月は箱を私から奪って、ネックレスを取り出した。

「俺、サンタさんだもーん。いい子にはプレゼントをあげるのが決まりっしょ?」

後ろに三月が立って、ネックレスをつけてくれた。
耳元で聞こえる声に少しドキドキする。

「セツって昔から髪はいつもショートだったね」
「……長いの好きじゃなくて……。」
「ネックレスつけやすかった。」

首元に光るネックレスに触れてみる。

「……あり、がとう。」
「いいえ。お気に召してくれました?」
「うん、可愛い。」

そして後ろからふわっと抱きしめられる。
三月の付けている香水が甘く薫って、どうしようもなく切なくなる。
私が三月にしていることはひどいことなんじゃないかって
分かっていても、自分を責めずにはいられなかった。

それでもいいと言った三月の心はどうなっているんだろうか……
もし、反対の立場なら、死にたいくらい、苦しい。

涙が溢れてくる。

「……でも、私はいい子なんかじゃないよ……」

「そだね。知ってる。」

ぎゅっと更に強く抱きしめられる。
耳元で聞こえてくる声に、全体で感じる温度に
クラクラする。

「だから、貰えないよ……。」

「サンタさん、好きな子には甘いから」

「……私も、じゃあお返しする」

「いらない。」

「何で!」

「……くれるんなら、言わせて。」

「え?」

「――困らせるけど。」

「言わないで……っ」

「好き」

「言わないで……。」



 感情が、ぶち壊されていく。
壊れた隙間から流れ込んでくる三月の気持ちは
あまりにも重く、温かく、悲しい。

「傍にいさせてよ、飽きるまででいいから。
 それがプレゼントでいい。」

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