恋のありかた


(唯side)


 メールは何日も返ってこないし、最近遊んでいるという情報もない。
クリスマスも結局一人で過ごす羽目になったし、何もかもがイラつく。

「作ったケーキ無駄になったじゃん……!!!」

ガシャンッと凄まじい音を立てて、ケーキと皿が床に落ちて悲惨な状況を作った。
怒りと悲しさで涙が止まらなかった。

やっと手にいられると思ったのに。噂はただの噂でしかないのか……。
雪南のあの顔、最高に面白かったのに。

「あぁああ!!」

苛立つ。本当に殺せるもんなら殺したい。
メールが返ってこないのにも、誘ってくれないのにも
絶対アイツの影がちらついてるに違いない。

そう思って、私が出向いた場所は倉田クンに雪南の事を話す為に
連れられた屋上だった。
もしかしたら倉田クンがいるかもしれないと思ったからだ。
だけど
ドアノブに手をかけようとしたとき、人がいる事に気付いた。

音をたてないように少しあけて隙間から覗き見ると

「………!!」

雪南と倉田クンの姿だった。
教室にいないと思えば、こんなところで……。
仲良さそうに座って何やら話している。内容までは聞こえなかった。

「……殺してやる……」


ドアを閉めて階段を降りる。本当にむかついてくる。
一回締め上げないと収まりがつかない。
言葉だけで泣くような女じゃないって事がわかっただけ
収穫はあったけど。
噛みしめた唇から血が滲みだしてくる。


「唯!探したよお。」
「麻美ぃ……。」

教室まで来ると、麻美が笑顔でこっちを見ていた。

「唯、どうしたの?」
「うわぁぁん……っ」

泣き真似は、得意だった。駆け寄ってきたと同時に
麻美に抱きつく。
麻美は驚いて、そして泣き声で次々と友達が集まってくる

「どうしたのっ!」
「わかんない、急に泣き出して……」


 そろそろ本気を出さなくちゃ。
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