恋のありかた
「……っ」
寒さと身体に走る激痛で目が覚めた。最悪の目覚め……。
縄はほどかれていた。制服はもっていかれたのか見渡す限りどこにもない。
身体を丸めて震えて、ひとりで泣いた。
「怖かった……。」
痛さと傷が生々しいけど覚えていないのが不幸中の幸いかもしれない。
携帯もどこにあるか分からない。ただ、泣くしかできなかった。
ここは、どこなんだろう……家の近所なんだろうか。倉庫のような場所だった。
帰りたいよ……。
思った瞬間に、倉庫の扉が開いた。
帰って来たのかもしれないとまた恐怖が生まれる。
けど、声の主は――
「雪南ぁっ……!!」
唯だった。
「セツ!」
それに続いて重なるように
三月の声がした。