恋のありかた


 何度も吐いて

 何度も洗い流した


 なのに



 消えてくれない。






「……ん」


 目が覚めると現実に戻る。ずっと眠っていたかった。思い出してしまうから。
不在着信を知らせるランプが光っている携帯を手に取って開くと同時に着信が入った。
――唯からだった。正直出ようか迷う。許せない存在だけど、とためらいながら通話ボタンを押す。


「はい」

「雪南ぁ…?大丈夫?」

「……」

「なーんて、どうだった?処女喪失の気分は?気持ちよかった?痛かった?」

「っ……ふざけんなよ」

 高笑いをしながら唯は話し続けた。
後ろにも何人かいるようで同じような笑い声が響く。
切りたい、吐きそうだった。

「ふざけんなぁ?こっちのセリフだっての。
 ちくったら次は人数増やして、二度と立ち直れなくしてあげるから」

「……っ」

「わかったぁ?じゃ明日学校でねえ♪
 ちゃんと来るんだよー?平気だよね?おやすみなさぁい♪」


 涙さえ出なかった。握りしめていた携帯を壁に投げつける。
床に虚しく落ちた携帯を見つめながら、
明日が来なければいいのにと私は思っていた。

「雪南?起きてたの?」

 落ちた音で気づいたのか、母親が部屋の前に来ていた。
心配そうな声色でドア越しに声をかけてくる感じに
きっと何かしらの形で今日の事を聞いたのだろうと思った。

「うん、さっきね。でもまだ眠いから」

「そう。……明日、病院に連れて行くからね」

「……うん」


 トン、トンと階段を下りて行く音を聞いて布団に顔をうずめる。


――神様ってやつがいるなら、これはきっと罰なんだろう。


私の醜い感情は人を傷つけるだけなのだから。


当然なのかもしれない。



「本当、笑えないよ……」

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