おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
★涙のオムライス★

味気ない

「味気ねぇなぁ」
 僕は、薄暗い居間でコンビニ弁当をつつきながらそう呟いた。 

 ふと、壁に掛けてあるカレンダーを見る。もう、5ヶ月か……。もうあれから5ヶ月が経っちまうんだな。早いな、時が過ぎるのは。



 5ヶ月前を振り返る。僕は、一人暮らしをし始めた。高校を卒業して次の次の日からだったかな。よく覚えてないが、卒業してすぐだった。
 親は反対しなかった。

「僕、高校卒業したら、一人暮らししたいんだけど」

「いいよ」
 

 これだけ。これだけだった。「いいよ」って言われたのに、「えっ?」って僕、言っちゃった。

 それで、卒業してすぐ一人暮らしを始めた。別に県外に出たってわけじゃない。実家とはちょっと離れた場所だ。最初見たとき、なんて良い所なんだって思った。ずっとここにいようって決めた。

 家賃は半分親が出してくれることになった。もう半分は「自分で稼いで出せ」とのこと。僕は大学には進学しなかったから、バイトをしまくってたくさん稼いでやろうと意気込んだ。

 バイトは近くのコンビニになった。店長は、話を聞く間もなく僕を雇ってくれた。そんなに僕が頼もしく見えたのか?
 一人暮らしをし始めた頃は、楽しかった。親から開放されるって、こんなにも心地良いもんなんだということを実感した。


 
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