おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
 深く深呼吸した。実家の玄関の前で。

 外から見た感じ、前とあんまり変わっていない。まぁ、変わったと言うなれば、庭の隅の植木鉢が数個増えたぐらいか。




 ピーンポーン。


 数秒後、母さんが出てきた。

 エプロンを身につけ、薄手の長袖Tシャツをまくりあげている。容姿は、前と何ら変わりはなかった。


「よぅ。久しぶり」

 僕は5ヶ月ぶりの挨拶をした。


 母さんの目は点になっている。


 

 それもそのはず。僕は中学、高校時代はロン毛で、ダボダボの私服しか着なかったのに、今は短髪で、ピチッとした服を着ているからだ。髪の毛の色も、黒から茶色に変えたし。

「ま、イメチェンしたってわけよー」

 僕はその場で一回転して見せた。

「ずいぶんとあか抜けたわねぇー。いいじゃん、いいじゃん」



 褒めてくれた。


 素直に嬉しかった。
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