おかんの手料理 ~7人のハチャメチャ物語~
「あ?どした」

 けだるそうな第一声。

 全く。この男は。

「大樹さぁ、サツマイモ味噌汁の作り方知ってる?」

「あ?どした急に」

「いいから。知ってる?知らない?どっち」

「サツマイモじゃねぇといけねぇのか?」

「いや、味噌汁の作り方でいいよ」

「知ってるよ。オレん家のは特別でな。ハハハ。それでもいいか?」


 特別?どこがどう特別なんだろう?

 まさか、キャビアとかフカヒレでも入ってんのかな。

 まぁ、いいや。聞けるんなら。


「うん。早く教えてよ」

「お椀に、味噌のペーストと、かやくを入れて熱湯を注ぐんだ。で、その上から半熟タマゴを乗っけるんだ。話してたら、何かオレも食べたくなっちゃったよ」


アタシは一回咳払いをする。

「あのさ。それってインスタントじゃん。こっちは真面目に話してるんだから、大樹も真面目に答えてくれる?」

「えっ、真面目に話してるんだけど」

「……まじで!あんたん家ってインスタントなの」

 ちょっと皮肉めかして言った。

 失礼だったかな。

 いやいや。インスタントって家の方がおかしいんだし。
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